戦国の復興経済|命懸けで稼ぐ職人と、恩義で動く労働

戦国時代。戦のあとの村を復興している土木作業する人と指示する役人
なりさん

戦後の復興って、職人は稼げてた?それとも無償で働かされてたん?

すごく本質的な問いやね。
「戦後復興」は単なる奉仕でもなければ、いまの公共事業とも違う。
戦国時代の“復興現場”では、命懸けで稼ぐ職人と、恩義で動く労働が複雑に入り混じってた。
ここを整理して話そう。


【1】復興の担い手は三層構造

戦のあと、焼けた城下や橋、堤防を再建する現場には、
主に以下の三層が存在してた。

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主な人々性格
① 動員層(奉仕・命令)百姓・人足・囚人領主の命令による「賦役」・無償労働が中心
② 技術層(職人・大工・鍛冶)専門技能者有償または恩賞での報酬、流浪的な“渡り職人”も
③ 管理層(普請奉行・代官)武士・寺社関係者設計・監督、政治的任務として派遣

つまり、「ただ働かされた」だけではなく、技能に応じて明確に報酬が発生していた層も存在した。


【2】百姓・農民は“義務”としての動員

戦国大名は領地経営の一環として、復興もまた軍事行動の一部と見てた。
堤防・橋・城の修復などは「御用普請(ごようぶしん)」と呼ばれ、
領民は動員され、無償で働かされることが多かった。

ただし――

  • 食料・道具は支給される
  • 戦の被災地では年貢を免除(免租)して労働で代替
  • 負担が大きい場合、郡・村単位で分担

つまり、“現金ではない対価”が与えられるパターン。
完全な奴隷労働ではなく、「復興=領民の義務」+「免税という報酬」だった。


【3】職人たちは「稼ぎ時」

一方で、城・橋・寺社・堤防を再建するには専門技術が要る。
ここは明確に有償の職域

戦乱が多かった時代、各地の職人集団(大工・石工・鍛冶・左官)は
“渡り職人”として復興現場を渡り歩いた。

  • 大阪城・伏見城・名古屋城などの普請 → 日当・食事・宿が支給
  • 橋・堤の再建 → 領主が直に契約する「請負制」も存在
  • 地方の寺社修復 → 村が寄進を募り、職人を雇う

これらは現代でいえば公共工事+民間委託の混合型
技術職人は高く評価され、戦国後期には「棟梁」「親方」として名字を持つようになった。


【4】土木・建築現場の報酬と生活

史料に残る実例では:

  • 天正年間の普請では、石工1人あたり1日5文〜10文(米換算で1合前後)。
  • 普請現場では、米・味噌・酒が支給される「食糧賃」形式も多い。
  • 大名直轄の普請(大阪城など)では、人足1万人以上を動員し、賃金の遅配・逃亡事件も起きている。

つまり、儲かった者もいれば、倒れた者も多かった。
“働けば食える”という現金経済の萌芽が、この復興期に芽生えたんや。


【5】物流・運搬で稼ぐ者たち

忘れられがちやけど、復興の裏で最も儲けたのは運び屋たち

  • 馬借(ばしゃく)・車借(しゃしゃく)
  • 船頭・問屋・塩商人

彼らは資材や食糧を運び、運賃で稼いだ。
堺商人や近江商人は、復興需要を読んで材木や鉄を買い占め、
「戦のあとこそ商機」と見抜いていた。

物流インフラの再建は、戦国の終わり=経済の始まりを意味していたんだ。


【6】無償奉仕に見える「恩返し型」復興もあった

ただし、全てが打算ではなかった。

  • 城主が民を守った場合、感謝として村が無償で城を直す
  • 寺が避難所になった場合、信徒が奉仕で再建
  • 家臣が主君の墓を建てる場合、無報酬の“忠義仕事”

つまり、経済的報酬ではなく「恩」「義」「信仰」で動く再建も多かった。
戦国の復興は、“経済と信義の混ざった社会事業”だったとも言える。


【7】まとめ

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立場報酬・動機性格
百姓・人足領主命令による賦役免税・食糧支給義務的・強制的
職人専門技術で契約参加賃金・日当・食糧有償・技能市場
商人・運送業資材調達・輸送運賃・利益戦後特需型
信徒・家臣信仰・恩義無償・名誉精神的報酬

つまりこうや。
戦国の復興は、

「命じられた労働」「稼ぐ仕事」「恩返しの奉仕」
が同じ現場に同居していた。

そこに、経済と信仰が交差する“再建文化”が生まれた。

次に「大阪城・伏見城・名古屋城などの実際の普請現場で働いた職人・人足の実態(給与・生活・危険)」のドキュメント風に掘り下げてみよう。

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参考・参照リンク(戦国時代)

※本カテゴリの記事は上記の公的史料・展示情報を参考に再構成しています。


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