江戸の長屋の共同便所は、まさに「庶民の知恵と我慢の象徴」みたいな存在でした。以下、順番・掃除・臭い・管理の面から整理してみましょう。
1. 便所の構造と位置
長屋の裏手に「共同便所(長屋便所)」が1〜2基設けられていました。
- だいたい裏のどんづまり(突き当たり)にあり、下肥をくみ取る「肥汲み人」が入りやすい位置でした。
- 汲み取り口が外側にあって、内側は板囲い。屋根付きの簡素な造り。
- 雨が降るとぬかるみ、夏は蝿が群がるという、なかなかの環境。
便所に近い部屋は臭いや虫の被害が多く、人気がありませんでした。
→ 家賃が少し安い代わりに、風下になると地獄。
逆に入口から遠い(便所に近い)部屋は「不利」とされていた記録が多いです。
2. 使用の順番とマナー
順番は「自然な譲り合い」でした。
- 特に朝の混雑時は「お先に」「どうぞ」と声を掛け合い。
- 長屋では顔見知り同士だったので、時間帯や癖もだいたい把握していた。
- 混雑時は子どもを先に行かせたり、女性が優先されることも多かった。
ただし、夜中は暗闇で提灯を持って行くため、夜の便所は怖い場所でもありました。
幽霊や妖怪の噂が絶えず、子どもは行けずに庭先で済ますこともあったとか。
3. 掃除と管理
掃除は持ち回り制でした。
- 各世帯が交代で週1回〜10日に1回程度、竹箒と柄杓で掃除。
- 汲み取りは「肥汲み人(下肥取り)」が行い、夜明け前に来ることが多い。
- 下肥は農村へ売られるので、「汲み取り=資源の回収」でもあった。
管理人(大家や店子頭)が見回って、掃除を怠ると叱られたそうです。
特に臭いが強い夏場は、灰やおがくずを撒いて臭気を抑える工夫もされていました。
4. 臭いと日常の工夫
- 風向きを読んで窓を開ける。
- 防臭のために「灰」や「竹炭」「茶殻」を撒く。
- 梅干しの種を入れるなど、庶民なりの知恵が多数。
- 庭にトイレが近い家は、香を焚く・線香を長くするなどして防臭していました。
5. 社会的な暗黙ルール
- 「使ったら掃除棒で軽く撫でる」などの小さな気遣い。
- 子どもが汚した場合は、親が後から掃除するのが当然。
- 酒好きの職人などが酔って粗相すると、次の日みんなから笑われた(=コミュニティの制裁)。
まとめ:便所に近い家は「安いが忍耐がいる」
- 臭いや虫に悩まされるが、掃除のときは便利。
- 反対に入口近くは風通しがよく人気があった。
- 便所掃除を怠らないことが、長屋の「信頼関係のバロメーター」でもありました。
生活編
あの時代、人々はどんな生活をしていたのだろう?衣食住から働き方まで、素朴な疑問にわかりやすくこたえます。






