駕籠旅の費用|庶民の『たまの贅沢』から大名の豪遊まで

かご旅
なりさん

江戸時代、かご旅の費用はどんなもんやった?

駕籠旅の料金体系――距離制+条件加算のタクシー的システム

駕籠旅、めちゃくちゃ細かく料金体系が決まってました。

現代で言えば「タクシー+人力車」のハイブリッド。距離・時間・条件で料金が変わる、かなり制度化されたシステムでした。


①駕籠の種類別・料金相場

上等駕籠(乗物駕籠)――武士・公家・富裕層専用

  • 装飾豪華・内部に畳や褥(しとね)
  • 担ぎ手も制服姿のプロ集団
  • 一日料金制: 300~500文(町人の日当と同額)

長距離例:

  • 江戸→京都: 金30両前後(現在の200~300万円相当)
  • 大名行列レベルの豪華移動

通い駕籠(町駕籠)――都市部のタクシー

  • 江戸・大坂などで「ちょい乗り」用
  • 1町(約109m)あたり4文
  • 例: 浅草→日本橋(約2km) = 80文
    • うどん1杯16文の時代なので、うどん5杯分
    • 現代で言えば1,000円前後のタクシー代

駅駕籠(宿場間輸送)――長距離移動用

  • 宿場町ごとに「駕籠宿」が管理
  • 1里(約4km)あたり200~250文
  • 加算条件:
    • 山道・峠越え: +難所加算
    • 雨天・夜間・女性客: +2~3割

②実例: 江戸→鎌倉(約50km)を駕籠で旅した場合

項目内容費用(文)基本運賃約12里 × 250文3,000文難所加算鎌倉街道 +20%+600文駕籠宿手数料仲介料 +10%+360文合計銀1分相当約3,960文

銀1分 = 現在の2~3万円相当

  • 徒歩ならタダ
  • 駕籠なら2~3万円の贅沢旅
  • 庶民にとっては「夢の乗り物」

③担ぎ手への分配システム――リレー制

駕籠の担ぎ手は**「前駕籠」「後駕籠」の2人組**で、1区間(4~6km)ごとに交代:

  • 1区間あたり担ぎ手への支払い: 50~100文
  • 駕籠宿(仲介業者)への手数料: 2割前後
  • 追加費用: 小荷物代・宿泊費・弁当代

つまり、料金の一部は仲介業者が抜き、残りを担ぎ手が分配
現代のタクシー会社と運転手の関係に似ています。


④観光駕籠の先祖――参詣地の短距離駕籠

金毘羅や日光などの観光地では、江戸後期から観光駕籠が人気に:

例: 金比羅参詣(785段の石段の365段まで)

  • 片道: 100~150文
  • 往復: 250文前後
  • うどん1杯16文 → うどん15杯分
  • 現代で言えば約2,000円

これ、現代の観光駕籠代とほぼ同じです。
価格設定、江戸時代から変わってないんですね。
※なお、この「石段かご」は、担ぎ手の高齢化に伴い、2020年1月26日をもって運行を終了しています。


⑤駕籠は「身分の象徴」でもあった

駕籠に乗ること自体がステータスでした:

  • 武士: 公務なら駕籠使用可
  • 富裕町人: たまの贅沢で乗る
  • 庶民: 一生に一度の参詣で乗るかどうか

余談: 駕籠の礼法

  • 揺れ防止のため口をきかぬこと
  • 担ぎ手に話しかけるのは失礼
  • 乗り降りも作法があった

まとめ: 駕籠旅の費用感覚

スクロールできます
区間距離費用現代換算庶民の感覚
江戸市内2km(約0.5里)80文約1,000円うどん5杯分
江戸→鎌倉50km(約12.5里)3,960文2〜3万円月給の1割
江戸→京都500km(約125里)金30両200〜300万円大名級の豪遊

江戸時代の駕籠料金は1里(約4km)につき400文が基本で、1文を約12〜42円で換算すると、4kmで約5,000〜17,000円となり、現代のタクシー(約1,700円)の約3〜10倍の高額料金でした。江戸から京都までの早駕籠は金30両(約200〜300万円相当)という超高額で、庶民には手が届かない移動手段でした。

つまり――

  • 庶民の「たまの贅沢」 = 市内移動・参詣の短距離
  • 富裕層の「日常の足」 = 長距離でも気軽に使用
  • 大名の「権威の誇示」 = 豪華駕籠で大行列

駕籠は、移動手段であり身分表現でもあったんです。

駕籠旅の費用|庶民の『たまの贅沢』から大名の豪遊まで」はこちらを参照。

実際の乗り心地は「駕籠の乗り心地|『耐える』だけじゃなかった職人技」について。

駕籠かきの暮らしぶり|江戸の”影の交通インフラ”を担った肉体労働者たち」で生活ぶりを紹介。

江戸の一日というシリーズで「江戸・駕籠かきの一日|肩に命を乗せて、足で道を読む」を紹介しています。


生活編

あの時代、人々はどんな生活をしていたのだろう?衣食住から働き方まで、素朴な疑問にわかりやすくこたえます。

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